lacto-vegetarian

セージバターソースのニョッキ

シンプルで、美味しくて、作るのがとても楽しい料理です。

ニョッキの材料は、じゃがいも・小麦粉・塩の三つ。

ソースは、バター・セージ・にんにく・塩の四つ。

<手作りということの意味>
ニョッキは手でこねて作ります。
人の手が直接触れて作られる料理は、食事の本質とも言えます。
作る人の心がこもっているだけではありません。
作る人が持っている良い「何か」を食べる人に分け与えるからです。
だから作り手は良い人間であらねばなりません。
腸内細菌叢が人の欲望や性格や行動までをコントロールしているということが科学的に明らかになったように、皮膚の常在菌もまた私たち人間をコントロールしていると私は確信しています。
漬物も味噌も人間の手の常在菌で発酵します。
つまり味はその家のお母さんの手の常在菌のバランスで決まります。

「何となくあの人が好き」
とあなたが思う時、それはあなたの常在菌が、好ましいと思う他の常在菌の持ち主をあなたの脳をコントロールして引き寄せています。
好きな人に触れてみたいと思うのは、常在菌があなたに「その人に近づけ」「その人に触れよ」と指令を出しているのです。
触れた途端、幸せな気持ちになればそれはあなたの常在菌が新たな常在菌と出会って喜んでいるということ。
反対に、嫌いな人には指一本触れたくありませんよね。
「そんなバカな」
と思うかもしれませんが、私も「そんなバカな」と思ったことが真実だったことを知って驚愕したことが何度もあります。
信じる信じないは別として、そこに常在菌の出会いがあり、私たちのあずかり知らぬ常在菌のミクロの世界があるのは事実ですね。
食べ物は常在菌の橋渡しをします。
好ましいと思う人の作る料理を食べてみたいと思いますよね。
顔の見えない不特定多数の人に食べ物を届けねばならない大量生産の現場では「衛生上の問題」といっておにぎりをビニール手袋で握りますが、やはりそれは不自然なことで、どこかに不都合が生じるものです。

<セージについて>
セージは古くから薬草として医療に使われてきたハーブで、殺菌効果・抗ウイルス効果が非常に高く、風邪や感染症の予防や症状改善に効果を発揮します。
そんな効能はさておき、とても良い香りで食欲をそそるのがハーブの力。
セージはソーセージの語源でもあります。
殺菌作用を生かしてソーセージ作りに使われたわけですが、香りの良さがソーセージの価値を高めたのは間違いありません。
そしてセージには、なんといってもバター。
伝統的なソースで、鉄板の組み合わせです。
ニョッキの優しい食感と優しいソースの味わいが調和した、シンプルゆえに美味しい一皿。

日々の食事は、できる限りシンプルを心がけて素材の繊細な味がきちんとわかるよう、常に舌をリセットしておきたいものです。

外食の濃い味、惣菜やレトルト食品、スーパーの棚に並ぶ包装された数々の品々、それらのほぼ全てに入っている添加物の味に慣れてしまうと、本来の食材の味がわからなくなってしまいます。
たとえば、いま貴方の家にある食品を一つ手に取ってみてください。
ドレッシングでもお煎餅でも、なんでもいいです。
裏の材料表示に「アミノ酸等」と書いていないものを見つけるのがいかに難しいかおわかりになるでしょう。

<小麦について>

小麦アレルギーが世界中に蔓延し、欧米ではグルテンフリーのメニューを出すレストランが数多く増え、いかにも小麦粉が悪い食べ物であるかのような風潮が今の社会にはあります。
しかし、古代から人類が何万年と食べ続けてきたものが、果たして本当に悪い食べ物なのでしょうか?

小麦が人間の健康を害すようになったのは、結局は人間のせい。
大量生産に向くよう何度も繰り返された品種改良、農薬汚染、遺伝子組換え。
経済のために犠牲にされた小麦から人間は今、警告を受けているのだと私は思っています。
本来の姿からかけ離れた姿にされた不自然な小麦、本来の食べ方からかけ離れた不自然な現代の食生活、この二つが世界中で小麦アレルギーを起こした大きな原因でしょう。
小麦アレルギーに限らず、現代の多くの疾病は品種改良・農薬・GMOによる農作物の劇的な変化が起こった時期と一致して増え続けているのです。

ではどうすればいいか。
まずは無農薬の小麦粉を選ぶこと。
次にできるだけ精製度の低い小麦粉を選ぶこと。
できるだけ在来種、古代種の小麦を選ぶこと。
小さな生産者を選ぶこと。
理想は、生産者の顔を見て信頼できる人から分けていただくこと。
幸いなことに、今はネットで探せば必ず見つかります。

セージバターソースのニョッキ

【材料】
(4人分)じゃがいも300g、強力粉80g、バター40g、 セージ1束、にんにく1片、塩

【作り方】
 皮付きのままじゃがいもを茹でる。茹で上がったら皮を剥いてマッシャーで潰す。塩小さじ1と強力 粉を加えて混ぜる。小麦粉がなじんで見えなくなったら手で一つにまとめ、千歳飴の太さの棒状に 伸ばして1cm幅にカットする。フォークの背に押し付けて溝をつけながら丸める。沸騰した湯で茹でる。浮いてきたら火が通った合図なので上げる。フライパンにバター、にんにくのすりおろし、セージを入れて火にかけ、 茹で上がったニョッキを入れてバターソースをよく絡める。最後に塩を振って仕上げる。

じゃがいもの種類は何でも良いです。
今回使ったのは「シャドークイーン」。とても綺麗な紫色をしていて、アントシアニンを豊富に含みます。
私の大好きな那須の生産者さん「成澤菜園」さんより。
https://narusawa-saien.jimdofree.com

バターはフランス・ブルターニュ産のグラスフェッド・チャーン発酵バター。https://www.bio-c-bon.jp/2018/05/25/特別販売!%E3%80%80grandeur-natureの「発酵チャーンバター」/

All photos by Taiko NAKAMOTO
Flower designer/Member of Shimotsuke Photographer Society