陸のいのち

鶏レバーのムース

フランスでは、ごく一般的なお惣菜。
冷蔵庫にある材料を使って適当な量で作るけれど、誰でも間違いなく美味しくできる便利な一皿です。
毎回微妙に味が変化するところが、家庭料理の醍醐味。
厳密な再現性を求められるプロには許されないことですね。
プロのレシピは素晴らしく美味しいに決まってますが、日々の食事はプロのそれとは違います。
まず健康。
それから、いかに無駄を出さないか=いかに命を粗末にしないか=いかに環境を破壊しないか、を第一に考えて、その上で美味しくなるように心がけます。

具体的にどういうこと?

① 少食主義者になる
お腹いっぱい食べない。
与えられたものを、少量を、感謝して頂く。
私は「食べ放題」や、好きなものを好きなだけ食べるビュッフェ式の食事があまり好きではありません。
食べ物への感謝を忘れ、蔑ろにしがちだから。
美しい盛りつけに拘るのは、頂く命への感謝とリスペクトを表明するため。
食事とは、命の譲り受けであり、一種の神聖な儀式でもあるのですから。

そして、そもそも生き物は空腹の状態がデフォルト。
毎食おなかいっぱい食べ続けてきた先進国の人間は、過食が原因で病気になっています。
一方で、飢餓で命を落とす人々もいるというのに。

② 自然農に還る/我々が破壊した自然を我々の手で元に戻す
全て自然界にあるものは循環します。
捨てるもの、無駄なもの、汚いものは一つとしてありません。
ところが今はそうなっていない。
プラスチックや洗剤や農薬で私達が汚したからです。
農薬が使われていなければ、野菜はほぼ捨てるところがありません。
玉ねぎの皮も、キウイの皮も、ネギの根も、むしろそこに栄養があるのに捨ててしまいますよね?
どうしても食べられない部分は自然へ還ります。
そのうち土となり栄養となって再び実りをもたらしてくれます。
でも農薬まみれだったり、遺伝子組み換え作物だったら還すことはできないのです。
本来は自然に還るものを、ゴミとして捨てるしかない。
手を合わせて「いただきます」するものをゴミ扱いするだなんて、とても失礼な行為ですよね?
だから、野菜であれば無農薬栽培(できれば無肥料栽培)の作物を選ぶべきなのです。
私たちの体に良いことは自然にも良いし、私たちの体に悪いことは自然にも悪いのです。

殆ど見かけないけれど、無農薬の野菜はどこで手に入るの?
– 消費者として近所の八百屋さんやスーパーに提案する
– ネットで信頼できる生産者を見つける〜定期購入で支援する
– なんでもいいから自分で栽培してみる(これが楽しい!)

などなど、各人ができることを少しずつやっていけばいいのです。

③ アニマルウェルフェアを支持する
肉を食べるなら、抗生物質・抗菌剤・ホルモン剤を投与されていない、飼料は無農薬&非遺伝子組換え作物でストレスなく育て、「アニマルウェルフェア」を実践している生産者さんから買うこと。

私は特にベジタリアンでもヴィーガンでもないけれど、その考え方はとても共感します。
環境を破壊し、家畜に苦痛を強いる現在の劣悪な畜産の実態を知った人達が肉食をやめるのは自然なこと。
他人に肉食を止めろとは言いません。
でも私は少なくともスーパーにずらりと並んだ肉は買わないようにしていますし、安価な外食をするくらいなら家で大根の葉ご飯を作って食べます(この時期、大根が旬で美味しい上にお安いです!特に葉っぱが美味🌿)
お肉大好きだけど、たまにで充分。

*鶏レバーのムース
材料:
・鶏レバー 300g(ココット2個分)
・香味野菜ひとつかみ(玉ねぎ、にんじん、セロリ、ネギ、にんにく、ハーブ類なんでも。なるべく買わずに、冷蔵庫に残っているもので)
・ワイン(赤・白・コニャックなど何でも。わざわざ開栓しないで済むものを)100g
・生クリーム 100g
・バター 20g
・塩&胡椒
作り方:
野菜を切り(みじん切りでも薄切りでもいいので大きさを揃えることが大切)、レバーも適当な大きさに切ってバターを入れた鍋で中火で炒める。
5分ほど炒めたらワインを注ぎ、ハーブ類を入れて蓋をし10分ほど弱火で蒸し煮する。
蓋を取って水分を飛ばしたら、中身をフードプロセッサに移し(ローリエなど硬いハーブは取り出す)、塩を加えて攪拌する。なめらかになったら生クリームを加えて、ひと回し、味見しながら塩加減を整える。胡椒を挽き入れて完成。

 

所要時間、30分。

超簡単!笑

レバーは下ごしらえなんてしません。

牛乳でくさみ抜きもしないし、脂も取らずに入れちゃう。なにも捨てない。

すみずみまで大切に頂くのです。

大体「くさみ」という表現も失礼ですね。

生野菜のえぐみも苦味も動物の内臓の匂いも、すべて味わいなのです。