知食陸のいのち

スローフードの意味

寒い季節になると、暖かい鍋料理や煮込み料理が食べたくなりますね。

ブッフ・ブルギニョンは、フランスを代表する家庭料理。

作り方はいたってシンプルです。

材料を全て鍋に入れ、バターで炒めたら赤ワインを加えて弱火でコトコト煮るだけ。

本来、こういった煮込み料理はわざわざ燃料を消費して作るのではなく、薪ストーブの上に置いて部屋を温めると同時に料理もできてしまうという、人間の知恵が生かされた料理です。

ゼラチン質が豊富な牛の頬肉やスネ肉は煮込み料理に最適で、逆に時短で作ってもあまり美味しくありません。

圧力鍋を使ってスピーディに作ることもできますが、弱火で長時間コトコト煮る方が圧倒的に美味しいのです。

発酵という現象も、ゆっくり長く時間をかければかけるほど栄養と風味が増しますよね。

ゆっくり作るということは、丁寧に作る、ということ。

素材に向き合い、命をいただくことに感謝するということ。

食べる時も必ずゆっくり食べること。

早食いは一つも良いことがありません。

咀嚼する時間が短いと唾液による酵素分解が行われないので胃腸に負担がかかり、長年の習慣になっている人は何十年もの間に胃腸を無駄に老化・劣化させているのです。

作るのもゆっくり、食べるのもゆっくりを心がけましょう。

自然の恵みをじっくり味わい、感謝を常に心の中で呟いていれば、おのずと食べるスピードもゆっくりになります。