ハチドリ運動とピエール・ラビ

SDGsという言葉が生まれるはるか前。
60年近く前から地球環境と食料生産を持続的に保障する哲学・思想を唱え続けてきたアグロエコロジーの第一人者が先月、この世を去った。
ピエール・ラビ。
哲学者。
アルテルモンディアリスム(=オルタナティブ・グローバリゼーション)の先駆者。
詩人。
ハチドリ運動の創始者。
ハチドリ運動とは?
森で火事が起きたとき、動物たちは慌てふためいたが、最も小さい動物であるハチドリはその小さな嘴で一生懸命に水を運んで火を消そうとした。
それを見た他の動物は「お前が運ぶその僅かな水が何の役に立つのか」と嘲笑した。
するとハチドリは「私は、私ができることをするのです」と答えた。
南米先住民に伝わるこの寓話からラビは着想を得て、世界的な運動に発展させるにまで至る。
ハチドリのような小さな力でも、一人一人が自分にできることをやっていけばそれは大きな力となり、世界は必ず変わる。
その思想は、各人がそれぞれ地域で小さなアクションをしていこう、という今起きている運動に繋がっている。
有機農業、自給自足、オフグリッド生活、地域通貨の立ち上げ、生産者との直接取引、エコヴィレッジ開設など、各地で立ち上がって実践している人々がいる。
これらは全てハチドリ運動である。
私も私にできることをする。
都市生活者として、花ゲリラをしたり、プラスチックフリー運動をしたり、反原発運動に加わったり、二酸化炭素削減のために自転車に乗ってアピールしたり。
そんなつまらないこと、だって?
いいのです、ハチドリだから。
そして同時に私は都会から遠く離れた場所、日本に僅かに残された清らかな土地に、アジール=理想郷を建設する構想を持っています。
私のためではなく、未来の人々のために残すべき共生の場所を。
地球が滅びに向かっている現在、もう止めようがないという学者も多い。
それでも、ハチドリの思想を多くの人が実践すれば、少しはその終わりの日を伸ばすことができる。
そう思って、明日も私はハチドリ運動の小さな担い手の一人となって水を運ぶのです。
ピエール・ラビの主な著書:
希望を蒔く人―アグロエコロジーへの誘い
良心的抵抗への呼びかけ―地球と人間のためのマニフェスト