コロナウイルスの猛威は東アジアからヨーロッパへ舞台を移し、イタリアでは13日に首相令が出され、国全体が事実上の封鎖となりました。
すでに学校や公共施設は閉鎖、イベント類も中止のところに、今回は食料品店と薬局を除く店舗が全て休業となりました。
完全に経済活動が停止し、人々は家に閉じ込められ、非常事態下での暮らしを強いられています。
辛いでしょうけど頑張って、イタリアの人々!
遠くの人々に届かなくても、少しでも心を寄せたい。
そんな気持ちが立って、寒い日に芯から温まるイタリアのスープを作ってみました。
ズッパ・ディ・ファッロ。
エミリア・ロマーニャ地方の伝統的な一皿です。
「ファッロ」は、日本では「スペルト小麦」「ヒトツブコムギ」「エンマー小麦」と呼ばれる古代小麦の総称で、全ての小麦の祖先と言われています。
古代って?
なんと9000年も前からチグリス・ユーフラテス流域辺りで栽培されていたそうです。
私たちが口にする現代の小麦は、人間が改良に改良を重ねた品種で、古代小麦は全く違うものです。
ちなみにヒトツブコムギの染色体の数は14本、現代小麦は42本!
全然違いますね。
収穫を手伝ったことがありますが、見た目も全然違います。
鳥や昆虫からしたら、いかにも食べにくそうな見た目(実際に外殻が硬く、食べられにくい)、大変に強健な古代小麦に対して、現代の一般的な小麦は脱穀しやすいように改良された結果、鳥や昆虫にも食べられやすい。病害にも弱い。
よって農薬が必要。
さて、どっちがいいでしょう?
あまりに便利を追い求めすぎて不自然なことをすると、必ず後で後悔するようなことが起こるのが、人間と自然との関わりの歴史なのでしょう。
小麦アレルギーを起こすのは、精製された小麦が原因とも言われています。
古代小麦は遺伝子組み換えを含め、人間の手で品種改良を行っていないので、小麦アレルギーを持ってる人の80~90%が古代小麦にはアレルギー反応を起こさないという調査結果もあるそうです。
今回はこちらのフランス産ヒトツブコムギを使いました。
ヒトツブコムギは古代小麦の中でも最も古い種です。
米もそうですが、麦も保存食として非常に優れています。
これから備蓄品が必要な世の中になってくると思います。
長期保存の効く食品を買い揃え、ついでに料理のレパートリーを増やしておきましょう。
3月の早春、我が家のプランターで最初に新芽を出したハーブはオレガノ。
イタリア料理には欠かせない、香り高いハーブです。
見た目が可愛いサラダバーネットも添えてみました
ズッパ・ディ・ファッロ
【材料】(4人分)
スペルト小麦100g、たまねぎ1個、にんじん1本、セロリ1本、にんにく1片、 トマト大1個またはトマト缶半分、パンチェッタ又はベーコン 100g、オリーブオイル、ハーブ(オレガノ、ローズマリー、タイムなどお好みで)、 塩大さじ1・胡椒、水700cc
【作り方】
にんにくはみじん切り、その他の野菜は 5mmの角切りに切る。
鍋にオリーブオイル、にんにく、たまねぎ、ベーコンを入れて炒め。
たまねぎが透き通ったら残りの野菜を入れてさらに炒める。
水700cc、小麦、塩、ハーブを足して沸騰したら弱火にして30分煮込む。
最後に胡椒を挽き回し、オリーブオイルを垂らす。
お好みのフレッシュハーブを添えて。
*セロリがなくても、にんじんがなくても構いません。冷蔵庫にあるもので。
わざわざ買わないで!
日々の料理は、家にあるもので作るのが基本。
今の時期なら蕪もいいし、しなびた大根の切れ端でもいいし、スープは野菜のフィトケミカルを抽出することに意味があるので、なんだっていいのです。
トマト(またはトマト缶)は入れないとズッパ・ディ・ファッロの味にはなりませんが、そうやって別の料理を見つけるのも楽しいもの。